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2010.05.28 | news

ニンフ役 野水伊織さんの写真エッセイ!

仮面Pの中国レポート(その1その2)に続き、
ニンフ役:野水伊織さんの写真エッセイが登場!
「おまもりひまり」公式サイト にも、野水 さんの写真エッセイが載ってるよ!




きらきらと光を背に受けて、どこまでもどこまでも背伸びしてゆく。
シナプスを目指したダウナーが頑張ったように、空へ空へと続いていきそうな。

そんな高い建物たちに囲まれた、中国は深セン。

―人工的なにおいの中に、若い緑色の木々をたくさん抱え込んだ、不思議な街。
それが、降り立ってみて最初に私が思ったことだった。

nimph-soraoto01sss.jpg

大きな荷物だけ部屋に押し込んで、ホテルを後にする。
イベントのリハーサルのために、まずは会場の下見だ。
遠出をした子供みたいなそわそわした気持ちと、旅路の疲れが心地良い。
思いっきり伸びをして、携帯カメラで写真を撮りながら一歩を踏み出してみる。

日本には無いような、変わった造りの高層マンション。
タツノオトシゴとか、本場の漢方を取り扱った薬局。
あ、でもホラ、日本にもある有名チェーン店だってちらほらある。

soraoto01ss.jpg

外国だって分かっていても、私たちと変わらない顔の、私たちと変わらない生活があって。
平行世界に紛れ込んだみたいな、やっぱり不思議な感じだ。

くすぐったくてうれしくて、テンションはどんどん上がっていくんだけど、
体にのしかかる熱い空気と、絶え間のないクラクションの音が離れてくれない。
にじむ汗が体力を奪うのなんて、そんなの簡単みたい。
急に弱気になった私はつぶやく。

「暑い。」

へろへろの私に呼びかけるかのように、道端では熟れた果物を売っている。
スイカに、スイカに、スイカに...あぁ、スイカが山積みだ。
イカロスちゃんが居たら喜びそうだなぁ、なんて思いながら、私もうれしい。
食べられるなら、の話だけど。

マネージャーさんやスタッフさん曰く、現地の果物や屋台の食べ物は、
お腹の調子がシンクロするまでやめておきなさい、とのこと。
そうだよね、いきなり食べたら、お腹だってびっくりしちゃうもんね。

お預けを喰らった子犬の気持ちで、屋台を通り過ぎてゆく。

soraoto02ss.jpg

水を飲んでも渇いたままの喉には、会場への道のりは意外に遠く、
「中国って広いんだなぁ」なんて当たり前のことを思いながら歩いた。


ふと、行く手に何車線もある大きな道路が立ちふさがって、歩道橋を上がる。
顔を上げると、目には幕張メッセみたいな建物が飛び込んできた。
うわぁ、と、胸の中に真っ白な光が広がったみたいにうれしくなって、
それまでの疲れはどこへやら。

そう、その巨大な建物こそが深セン会展中心。
イベントが行われる、目的地。

思い出したかのように写真を撮りながら進むと、歩道橋の先にはまた、木々が。
でも会展中心の向こう側には、何階建てか数えきれないくらい高くて黒々としたビルたち。

ふと、美名ちゃんが
「お台場みたいだね。」
と言った。

うん、と小さく返事をしながら、平行世界の国境を、少しだけ感じた。
©2010水無月すう/角川書店/新大陸発見部フォルテ